時のアセス第三者委員会の答申を受けて
党県委員会が諌早湾干拓中止を申し入れ
「民主ながさき」2001年9月11日号より
  諫早湾干拓事業の事業再評価第三者委員会が「事業見直し」を答申し、武部勤農水相が「規模縮小の検討」を表明したなか、長崎県当局は「事業の推進」要請を繰り返しています。
 一方、マスコミは「これまで私たちが指摘してきたように、最も大切なのは、魚介類や渡り鳥など生き物が多彩に息づく、『宝の海』としての有明海の復活である」「農水省は、調査検討委員会が取り組むノリ不作の原因究明調査の行方を見定めるのはもちろん、防災面にも配慮しつつ、有明海全体を視野に入れた環境再生事業を積極的に展開すべきである」(西日本、八月二十九日付)、「水門を閉めるのは、高潮が予想される時に限るべきだ。干拓地を囲む内部堤防を補強したり、排水ポンプを増強したりすれば、治水対策には十分である」「農水省にはこれまで、農林漁業を一体的にとらえる視点が欠けていた。有明海の漁業を犠牲にする諫早湾干拓事業は、縦割り行政の典型的な例である」(朝日、三十日付)などと報道しています。
 日本共産党長崎県委員会(深町孝郎委員長は七日、金子原二郎知事にたいし、事業の要件を欠いた干拓事業はきっぱり中止するよう申し入れました。
 申し入れには山下好丸党農漁民部長、原田睦男副委員長、石丸完治中部地区委員長、中田晋介、西村貴恵子両県議が参加しました。
 山下氏らは、議事録にもとづく第三者委員会の論議にふれ、「事業の根幹にかかわる問題が提起され、中止・休止を求める意見が相次ぎ、『計画通りの継続』を認める意見はなかった」と強調、事業の不当性に目をふさぐべきではないとのべました。
 応対した県の真崎信之農林部長は、「国がすすめてきた事業であり、国からの説明があれば十分聞いて議論するのが県の立場」として従来の見解に固執。「県の回答には、第三者委員会の議論の上に立った発展がみられない」との批判にたいして、同部長は「議事録の全部は読んでいない」などと答えました。
 申し入れの内容は、▽有明海をよみがえらせるため、堤防水門を常時開放し、干陸地すべての干潟再生に取り組む▽農地があまっているなかで、費用対効果も崩れた農地を造成する干拓事業は中止する▽干拓周辺の低平地の浸水対策は旧堤防の補強、排水ポンプの増設など佐賀県の方式ですすめる。本明川の氾濫(はんらん)対策は国土交通省の河川改修ですすめる。高潮対策は潮受け堤防の水門の開閉で対処する▽干拓工事をすべて中断し、有明海漁業被害の原因解明の調査および対策をとる▽干拓事業による漁業補償を万全におこない、当面の就労と生活を保障するです。
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