2008年7月県議会
堀江県議の一般質問@
 壇上からの質問
      一般質問を3つに分けて掲載しています。以下をクリックしてご覧下さい。
 A県当局の1回目の答弁    B再質問とやりとり

議長
(三好コ明君) 堀江議員1番。

〇1番 堀江ひとみ君 (拍手)〔登壇〕
  日本共産党の堀江ひとみです。
 最後の登壇であり、既に同僚議員が取り上げた項目もありますが、確認したい点もありますので、通告に基づき、以下質問いたします。

1、学校など耐震化の促進について。
 耐震化の促進は、県政の最優先課題です。中国四川大地震では、校舎倒壊で、無数の子どもたちの命が失われました。多くの県民が心を痛めました。岩手・宮城内陸地震でも、多くの校舎に被害が出ました。

 同地震の発生が土曜日でしたから、児童生徒の人命にかかわる被害はありませんでしたが、平日なら、重大な被害が出た可能性が指摘されています。

 相次ぎ地震の被害が報道される中、本県小中学校校舎の耐震化が2年連続全国最下位の実態は、多くの県民に不安を与えています。
 保育所、幼稚園は大丈夫かとの声も寄せられています。

 知事は本会議初日、一日も早い耐震化を強く求められている、計画の前倒しを一層進めて耐震化を促進したい、市町や私立学校に対し、強力に要請したと説明しました。
 寺田県教育長は、6月の定例教育委員会で、各市町を直接訪問し、耐震化推進を要請する考えを示したと報道されています。

 耐震化を促進するために、県として、市町への要請だけでは、行政の最優先課題とはとても言えません。耐震化診断で県の補助を創設するなど、具体的な支援策を検討すべきです。見解を求めます。

2、九州新幹線西九州ルートについて。
 1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法に基づけば、新幹線とは、主たる区間を列車が時速200キロ以上で走行できる幹線鉄道となっています。

 さらに、在来線と別ルートで線路を敷くこと、線路の幅は在来線より広い幅であること、踏切をつくらないこと、カーブを大きくし、急傾斜をつくらないこととなっています。
 これに対して、長崎新幹線と呼ばれる西九州ルートはどうでしょうか。
仮に、フリーゲージトレインが完成したとして、博多から新鳥栖までは鹿児島新幹線の線路、時速200キロ以上で走ります。

 新鳥栖から武雄温泉区間は在来線。 スピードは出せません。武雄温泉から諫早、今回着工許可がおりた区間は、新幹線幅の広い線路ではなく、在来線幅の狭い線路を敷く予定です。ここでもスピードは出せません。(発言する者あり)

 諫早から長崎、今のところ、財源の見通しはありません。在来線を走りますから、ここでもスピードは出せません。
 
 仮に、諫早から長崎の着工許可が実現しても、新鳥栖から武雄温泉区間は、新線の計画すらありません。
 長崎県は、全国の新幹線ネットワークに直結と宣伝していますが、新幹線幅の線路ではつながらないのです。

 結局、博多から長崎までの間、全国新幹線鉄道整備法による時速200キロ以上で走る区間は、博多から新鳥栖だけになります。どうしてこれで新幹線と言えるでしょうか。まさに、名ばかり新幹線なのです。

 新幹線といえば、県民だれもが、のぞみ、ひかり、こだまを思い浮かべますが、西九州ルートは、のぞみ、ひかり、こだま型のフル規格ではありません。フリーゲージトレインという車輪の幅を線路に合わせて調整する車両です。
しかも、実現の見通しはいまだありません。

 仮に実現した場合、長崎から博多間の運賃は確実に値上げになります。「ゴールは長崎まで」のかけ声があります。

 仮に、諫早から長崎に新たな線路が引かれたら、長崎市内北部地域の人たちは、かもめより不便になります。なぜなら、かもめは長崎市内浦上で停車しますが、西九州ルートは浦上でとまらないからです。西九州ルートは、停車駅をかもめより少なくします。

 莫大な事業費をかけるのに、時間短縮効果は26分は疑問、10数分と指摘されています。こうした西九州ルートの計画が県民に知らされておりません。計画を明らかにすることを求めます。

 何より、フリーゲージトレイン実用化のめどが立っていない段階で、着工だけ進めるとは、ずさんとしか言いようがありません。ずさんな計画は、きっぱりと中止すべきです。見解を求めます。

3、国営諫早湾干拓事業について。
 佐賀地裁判決を不服として、国は控訴しました。私は、国に強く抗議します。
 国の控訴は、深刻な漁業被害により、もはや抜き差しならないところまで追い込まれている漁民の切実な願いを踏みにじった暴挙です。控訴をして、問題が解決するでしょうか。

 有明海の漁業被害は一層深刻化し、漁業者と農業者の対立をあおるばかりではないでしょうか。漁業と農業と、ともに栄える道を進めるべきです。

 こうした立場から、金子知事は、佐賀県、熊本県、福岡県も求めている潮受け堤防の開門を行うべきです。知事の見解を求めます。

4、後期高齢者医療制度について。
 今年4月から実施された後期高齢者医療制度について、県民の怒りと、廃止を求める声が広がっています。

 *61歳女性
 94歳と87歳の両親の介護をしている。後期高齢者医療制度は、年金からの保険料の天引きと75歳から線を引くことが大きな問題だ。 高齢者は今まで一生懸命働いてきている人ですよ。
 戦争にも行って苦労して、しかも寝たきりで体も全く動けない人からも保険料を取るなんて。

 *79歳男性。
 ろくな説明もなしに一方的に天引きすることは納得できない。年金は、戦後の苦しいときから老後のために積み立ててきた生活費だ。私の金を黙って取り上げるのは泥棒じゃないか。
 学徒動員で、知覧の特攻隊に行った同級生もいる。食うや食わずで歯を食いしばって働いて、この国をつくってきた。余りの仕打ちだ。

 *75歳女性。
 子どもの扶養家族となっている。年金は2カ月で3万800円。9,000円余りの介護保険料だけでも大変なのに、後期高齢者の保険料が取られたら、手元に残るお金では暮らしていけない。
 子どもにも、これ以上出してもらうわけにはいかない。迷惑はかけられない。制度を廃止してほしい…

 などなど、長崎県社会保障推進協議会の電話相談に寄せられた声です。

 知事は本会議初日、国においては、制度の見直しや新たな保険料軽減措置等の導入が検討されており、今後とも、国民の皆様に理解が得られるよう国に働きかけたいと述べました。

 新制度がすぐに見直しでは、制度そのものが欠陥であることの証明です。後期高齢者医療制度は、75歳という人生を重ねただけで、これまでと同じ医療が受けられません。
 介護保険料に加えて、後期高齢者医療保険料も年金から天引きされます。私は、高齢者を差別する後期高齢者医療制度は、すぐに廃止すべきと考えます。
 県内の自治体でも、長崎市、時津町、長与町など、廃止を求める請願が採択されています。国に対し、制度廃止を求めるべきです。見解を求めます。

5、被爆者の立場に立った原爆症認定の運用について。
 長崎地方裁判所は、6月23日、原爆症認定集団訴訟で、原告27人のうち、20人は勝訴の判決を出しましたが、7人の訴えは認めませんでした。

 この訴訟は5年間に及び、提訴後、8名が亡くなりました。被爆者には時間がありません。原爆症と認められた被爆者は、被爆者全体の1%もおりません。

 生涯いやすことのできない傷跡と後遺症に苦しみ、不安の中での生活を強いられている被爆者に対し、国は、原爆症と認めるべきです。

 6月27日、国は、判決を不服として控訴しました。7月7日、原告全員も、国家賠償請求を棄却した点を不服として控訴しました。知事は、本議会前の定例記者会見において、国に対し、一日も早い解決を要望したいと発言しています。

 また、7日、原告弁護団の要請に対して知事は、一日も早い解決を要望したいと対応したことが報道されています。具体的な対応について、示していただきたい。

6、原油価格の高騰対策について。
 県内のある漁業組合長は、「ただでさえきついのに、燃油の値上がりはきつい。漁業が構造的に厳しい中で、燃油の値上がりが追い打ちをかける。船のスピードを落として漁場まで行く」と私に訴えられました。
 
 赤旗記者が、対馬市美津島町漁協、豊玉町漁協を取材したとき、「燃油以外に、イカをおさめる発泡スチロール箱も値上がりしておる。みんな赤字覚悟で漁に出る。やれんです」と訴えられました。

 「このあたりの漁師は、互いにローンの連帯保証人になっている。迷惑はかけられないから廃業を決断した」と、燃油高騰で廃業した漁師もいました。

 明日15日は、全国の多くの漁業者が一斉に漁を休み、漁民の窮状を訴えます。原油高騰は、漁業だけでなく、農業、運送業者、クリーニング店などなど、これでは経営が立ち行かないと、悲鳴が上がっています。

 県民生活にも重大な影響が出ています。原材料費や穀物価格の高騰とも相まって、食用油、即席めん、マヨネーズなど、食料品から日常生活用品に至るまで、価格上昇を招き、消費者物価全般に波及しつつあります。

 本県が石油製品価格高騰対策緊急検討会議を開催していることは承知していますが、離島の各市町と関係部だけにとどめず、対策本部を立ち上げて、各部局連携しての緊急の対応が求められていると思います。

 見解を求めます。以上、県民の切実な要望をもとに質問いたします。
知事の誠意ある答弁を求めます。(拍手)