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在来線が消える/新幹線長崎ルート
通勤・通学の足℃cして
佐賀市と長崎市を結ぶ九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)計画が、両県民を巻き込んで大きな地域問題に発展しています。在来線の長崎本線が廃止になる∞新幹線は本当に必要か≠ニ、猛反発する自治体を歩いてみると、長崎新幹線建設の道理のなさが浮かんできます。
(長崎県・田中康、佐賀県・平川明宏)
長崎本線は、特急の止まる肥前山口駅(佐賀・江北町)から肥前鹿島駅(同・鹿島市)を経て、長崎県諫早市まで有明海沿いを通ります。内陸部を通る長崎新幹線の着工計画は、この肥前山口駅(佐賀・江北町)から諫早までの区間をJRから経営分離することが条件になっています。
大変便利です
肥前山口駅と肥前鹿島駅の間にある肥前白石駅(佐賀・白石町)(写真)は二つの高校があり、「高校生だけでも毎日のべ二百五十人が乗り降りします。通勤・通学の足として、一日の乗客数は平均千百人」(駅長)です。
毎日、佐賀市内の高校に通学する男子高生(18)は「駅が家のそばだから、大変便利です。在来線はずっと残してほしい。ここを利用する人はみんなそう思っていると思う」と話します。
駅前で飲食店を長年営む店主は、「在来線は残してほしい。私だけじゃない、この辺の住民はそう思っている。なにしろ、子どものころから線路を見ながら育ってきたからね。廃線にでもなったらポッカリ胸に穴が開く感じだ」と語ります。
役所に「住民の足・長崎本線を守ろう」と書かれた看板が掲げられた鹿島市。「長崎本線在来線の存続」を公約し、四月に五選を果たした桑原允彦鹿島市長は、「(新幹線は)住民が犠牲を払うだけの値打ちがある事業とは思えない」「新幹線は、県民や市民の同意が得られていない。経営分離された第三セクターでは赤字で(在来線は)廃線となるかもしれない。利用者の利便性が損なわれ、地域がさびれるとわかっているものだ」と、明快です。
日本共産党の鹿島市委員会がおこなった市民アンケートの回答(八月末で四百十一通)でも、「建設に反対」が90%と「賛成」3%を圧倒しています。
一方、長崎県は知事を先頭に新幹線推進に動いています。この八月、金子原二郎知事や県内の商工会議所などが相次いで古川康佐賀県知事を訪ね、「地域活性化に新幹線が必要」「いつまでも引き延ばさないで」と建設促進の圧力をかけました。当初、「建設は沿線の全自治体の同意がなければ杭(くい)一本打たせない」と沿線自治体に明言していた古川佐賀県知事は、「地元と協議し、一日も早く同意が得られるように努力」するといいだしています。
長崎県内の諸団体も「長崎本線存続」を主張する鹿島市や江北町を訪れ、新幹線着工への早期合意を迫りました。
おわびの手紙
「なぜ長崎の人に『新幹線を通せ』と言われんばいかんのでしょうか」と鹿島市内のレストランの主人はいいます。
同市の幹部職員の一人は、「雲仙や島原からまで来られてびっくりしました」と首をかしげながらいいます。「新幹線をつくれば、何となく客が増えて長崎が元気になると思っておられるようです」「『西九州の一体的発展のため』と抽象的な話ばかり。諫早で何人の観光客が増えるのか、今後の県民負担はどうなのか、検証された話がない」と。
長崎新聞が実施した県民アンケート(一月)では、45%が「長崎ルート不要」と答えています。「必要」は36%です。
鹿島市役所には、「長崎本線を守って」と訴える手紙が多く届き、長崎県内からの手紙も目立つといいます。「県民の多くは反対していることを伝えたい」「(長崎県が)迷惑をかけています。恥ずかしいです」といった声です。
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