「しんぶん赤旗」2006/9/7
木曜人とき
「教育基本法改悪案は廃案に」と駆けまわる
森 文明 さん(54歳) 大村市在住

 戦争する国づくりのための教育基本法改悪。「廃案以外にありません」と、長崎市内をはじめ県内各地でマイクを握り署名を集める先頭にたっています。県高等学校教職員組合の書記次長です。
 「子どもが子どもらしく生きられない社会はおかしい」、「競争とか、勝ち組・負け組みとか、今でさえ色分けされている子どもたちをますます苦しめるのが教育基本法改悪です」。街頭で訴えるたびに、懸命に生きる子どもたちの顔が目にうかびます。

 卒業した教え子たちのことを「若い友人」と呼んでいます。街頭で「先生、何ばしよっとね」「がんばっていますね」と駆け寄ってくることもしばしば。地元紙に発表した教育基本法改悪反対の意見広告には、多くの「若い友人」が協力してくれました。

 東京で芝居の演出家になるのが夢でした。故郷での「教育実習」のとき、子どもたちの新鮮な笑顔に接し教師の道を選びました。「三十一年間、子どもたちから教えられることばっかりでした」「授業は子どもが主役、どこか芝居の演出と似てますね」。学校現場の話になると顔がほころび言葉も滑らかです。
 いまの教育基本法は憲法と同じ。教師にとっても国民にとっても「空気みたいなもの、なくなったら息苦しくなります」とズバリ。国を愛することを法律で強制したのは戦前のこと、教育条件整備こそ国の義務と定めているのに、これをやめ、逆に政府に都合のいい教育に変えるのが教育基本法の改悪と明快です。「一番の被害者は子どもたちですからね」。声が大きくなりました。
 まわりの人は親しみを込め「普通と違う個性の人」といいます。「まわりと同じ人といわれるよりうれしい」と笑いとばす頼られる存在です。