「しんぶん赤旗」2024/2/22

田村和之広島大学名誉教授が被爆体験者と懇談

 広島の「黒い雨」訴訟にかかわっている田村和之広島大学名誉教授は20日、国が定めた地域外で原爆に遭い被爆者と認められていない、長崎市に住む「被爆体験者」と懇談しました。

 19日に長崎地裁で結審した被爆体験者訴訟傍聴のため来崎していたもので、長崎県原水協の大矢正人代表理事らが案内しました。

 8歳の時に爆心地から約7・5`の東長崎・間の瀬地区で被爆した鶴武さん(86)の自宅を訪問し、被爆体験を聞きました。

 鶴さんは原爆投下直後の様子を「ピカッと光った後、ものすごい爆風で家の外壁や瓦が吹き飛んだ。燃えカスなどが飛んできてかめの水はドロドロになり、2〜3日沈殿させてから飲んだ」といい、弟は40歳の時胃がんで亡くなり、自身も60歳で脳梗塞を患い、その後、3回入院しました。

「原爆のおかげでいろんな目にあい、周りの人は何人も亡くなっていった。どうして広島は認められて、長崎の『被爆体験者』は被爆者と認められないのか」と憤りました。

 3人の「被爆体験者」の証言を聞いた田村さんは「みなさん焼け焦げた紙切れやお札、火の粉のようなものがいっぱい飛んできたことを鮮明に覚えている。そこに含まれているのが放射性降下物で、かなり大量に降ったという話を聞き、(長崎を除外した)政府の態度は間違っているとの思いを強くしました」と語りました。