「しんぶん赤旗」2024/11/2

西日本リポート 日米共同統合演習大規模に

 過去最大規模の4万5千人が参加した日米共同統合演習「キーン・ソード」(10月23日〜11月1日)では、民間空港、港湾もかつてなく大規模に使用されました。九州・沖縄にのみ8カ所ある「特定利用空港」では、鹿児島空港を除く北九州、長崎、福江(長崎県)、熊本、宮崎、徳之島(鹿児島県)、那覇の7空港で実動訓練が行われ、他国との戦闘などを想定して使われました。

 長崎空港(長崎県大村市) には、市民の抗議のなか戦闘機が初めて飛来しました。航空自衛隊築城基地(福岡県築上町など) からF.2戦闘機のべ12機が3日間に分けて展開し、給油などの訓練後、四国沖での「防空ミサイル防衛」、対艦攻撃訓練に飛び立ちました。
 熊本空港には、空自新田原基地(宮崎県新富町) のF15戦闘機が3日間に4機ずつ熊本市街地上空を通って着陸し、四国沖での実動訓練に参加。また米海兵隊のMV22、自衛隊V22オスプレイも飛来し、南西諸島での空挺(くうてい) 降下や洋上訓練に向かいました。  徳之島空港では、31日、F15戦闘機4機が続離着陸訓練「タッチ・アンド・ゴー」を雨の中強行しました。 戦闘機などの飛来は「自衛隊の基地が使用できない事態」を想定したもので基地が攻撃された際の代替としようとするものです。 宮崎空港にも、海上自衛隊の哨戒機が展開しました。
 特定利用空港以外でも、米軍占有区域と自衛隊地区のある福岡空港で30日、自衛隊のC130大型輸送機による負傷者の輸送訓練が行われました。
 九州防衛局は訓練の目的について、自衛隊があらゆる事態に備えて多様な空港を使用できるようにしておくため「平素かう民間空港を使用した訓練」が必要だと回答しました。 ながさき平和委員会の冨塚明事務局長は、「日本が戦場になることを大前提とした訓練だ」と述べ、軍事利用することで「有事」の際に民間施設まで攻撃対象になりかねないと指摘。軍事訓練は周辺国の軍拡と敵愾(てきがい)心をあおりむしろ日本を脅威にさらすと強調し、「日常的に軍事訓練をやるくらいならば、その力を平和のための外交に注ぐべきで日本政府は逆行している」と批判しました。