「しんぶん赤旗」2024/8/8

長崎の高校生 被爆者の体験を紙芝居に

 長崎市の渇水高校平和学習部が制作した紙芝居「わたしからあなたへ」が完成しました。被爆体験を描いたもので、来年の被爆80年に向け、長崎被災協(長崎原爆被災者協議会)が取り組んでいるプロジェクトの一環。日本語と英語のナレーションをつけ、動画にして長崎被災協のユーチューブで公開されました。

 主人公は被爆者の松屋幸子さん(90)。11歳の時に爆心地から1/3キロで被爆しました。同校平和学習部の2年生4人は今年5月、松尾さんから被爆体験を聞き、その話をもとに台本を考え絵を描きました。英訳とナレーションも自分たちで行いました。

 7月26日に同校で完成披露会があり、リーダーとして台本作成や英訳などを担当した竹内伶さんは「紙芝居が世界の人々に原爆、核兵器について知ってもらう窓口になればいいと思う。若い人たちが平和のための行動を起こすきっかけになれば」と語ります。

 紙芝居は、燃えさかる浦上教会(浦上天主堂)を見て泣く松尾さんの祖母や、爆心地から800メートルで被爆した父親が苦しんで亡くなったことなどが、柔らかな色合いの水彩絵の具で描かれています。

 作画担当の島田朱莉さんは、被爆当時の長崎の状況を描くのが難しかったとき、「本や資料、インターネットで調べて制作した」と話しました。

 松尾さんは「私たちは外国に行くことも、英語もできないけれど、彼女たちはそれができる。彼女たちがまいた種がいろんなところに広がっていくと思うと、とてもうれしい」と述べ、「紙芝居はやさしい表現で気持ちが伝わってきた。みなさんの心に響くと思う」と語りました。

 紙芝居は平和学習部のインスタグラムなどでも公開しています。