「しんぶん赤旗」2024/1/24

禁止条約3年で共同声明 被爆地・原爆誕生の地の大司教ら

 【ニューヨーク=島田峰隆】広島、長崎と米国のサンタフェ、シアトルのカトリック教会の大司教ら5氏は22日、核兵器禁止条約の発効から3年にあたって共同声明を発表しました。核保有国は禁止条約に参加する多くの国々の声を聞く「道徳的義務」を負っていると指摘し、核廃絶に真剣に取り組むよう要求しました。

 サンタフェとシアトルの大司教区には、第2次世界大戦中に原爆の開発や製造に携わった研究所や施設があります。

 共同声明は被爆地と原爆誕生の地は「核兵器の破滅的な危険をめぐって直接的な関係を持っている」と指摘。核兵器禁止条約は核兵器のない世界への「歴史的一歩だ」とし、「われわれは禁止条約に揺るぎない支持を表明せずにはいられない」と強調しました。

 共同声明は、禁止条約の署名国が93、批准国が70に上る一方で、九つの核保有国やその同盟国は条約に背を向けていると批判。「核保有国は世界の大多数の声に耳を傾ける道徳的義務がある」と指摘しています。

 また「核兵器禁止条約の道徳的な力は国境を超えたものであり、地球規模で普遍的だ」と強調しました。世界の各国指導者に対し、広島と長崎への原爆投下から80年となる2025年夏までに「核軍縮の目に見える前進」をつくるよう要求しました。

 共同声明に名を連ねた5氏は、ジョン・ウェスター大司教(サンタフェ)、ポール・エチエンヌ大司教(シアトル)、中村倫明大司教(長崎)、白浜満司教(広島)、見三明名誉大司教(長崎)です。