「しんぶん赤旗」2024/9/13

全被爆体験者に手帳を判決受けて各団体声明

 長崎「被爆体験者」訴訟の長崎地裁判決をうけて各団体は12日までに抗議する声明や談話を発表し、すべての「被爆体験者」を「被爆者」と認めるよう求めました。

 長崎被爆地域拡大協議会(池山道夫会長)は談話で、長崎県・市・国に対し、県外居住者や被爆当時の胎児を含むすべての「被爆体験者」に速やかに被爆者健康手帳を交付することを求めました。

 判決は、被爆者援護法1条3号に該当する事実立証において、相当程度の蓋然(がいぜん)性があることの証明を被害者に求め、広島高裁「黒い雨」判決における解釈論から後退させたと指摘。「被爆体験者」の中に新たな線引きを行うことにより分断をもちこんだと批判しています。

 さらに、米軍マンハッタン調査団などの残留放射線の測定結果に基づき、諫早市、大村市、島原半島などで被爆したすべての原爆被害者に被爆者健康手帳の交付を求めています。

 原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は安井正和事務局長の談話で、国・厚生労働省に対して、被爆者切り捨て政策を即刻改め、長崎「被爆体験者」全員を「被爆者」として被爆者健康手帳を交付するよう強く求めました。

 「黒い雨」広島高裁判決に従えば、全員が「被爆者」と認定されるべきところを、長崎地裁判決は「『黒い雨』が降ったかどうか」に問題を矮小(わいしょう)化し、立証責任を原告に負わせ、耐えがたい苦痛をもたらすと指摘。「黒い雨」の「被爆者」に対して、広島でも分断を行っている国・厚労省の姿勢を反映したものだと批判しています。

 原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は共同議長3氏の声明で、判決は「被爆体験者」の一括救済でない点に問題が残ると指摘。控訴などで「訴訟をこれ以上長引かせるべきではないし、なにより政府が一刻も早い全面的な救済措置を具体的に実施すべきだ」としています。

 「国による、幾重にも重なる差別的な状況の改善が図られることなく、今日を迎えてしまっていることは許しがたい現実である。もう一刻の猶予も許されない」と強調。「被爆体験者」の高年齢化が進んでいるとのべ、「救済の観点を明らかにした『早急な』対応をすべきだ」としています。

 全国保険医団体連合会(保団連)は竹田智雄会長の談話で、「被爆体験者を線引き・分断する内容となったことに怒りを禁じえない」と抗議。「黒い雨」に関する証言数について、勝訴した住民の居住地区より敗訴した住民の居住地区からの方が多い場合があるとのべ、「黒い雨」が降ったと認めた地区に隣接する地区の住民2人を敗訴とした判決は「矛盾する」と指摘しています。

 また、放射線の影響が認められる状況下にあれば被爆者と認めるべきで、「黒い雨」以外の被爆に関する証言や放射線の影響下にあったことを示す資料を無視すべきではないと強調。「被爆体験者」問題の早期解決を求めています。