「しんぶん赤旗」2024/2/23

諫干・営農者農地明け渡し訴訟判決

 国営諫早湾干拓事業の干拓営農地を管理する長崎県農業振興公社が、干拓営農2法人に農地の明け渡しなどを求めた訴訟の判決が22日、福岡高裁でありました。岡田健裁判長は、長崎地裁の不当判決を追認し、営農者の控訴を棄却する判決を出しました。

判決では、土地の明け渡しとリース料や賦課金の支払いを命じ、一審から後退。明け渡し請求が権利乱用や信義則違反には当たらないとしました。馬奈木昭雄団長は「農業、国民生活を守る観点からどう考えるかには触れず、国・県の結論だけを支持する極めておかしい判決」だと指摘しました。

 提訴された2法人は島原市のマツオファーム(松尾公春代表)と諫早市のグリーンファーム(勝田考政代表)。公社側から優良農地だと誘われ入植し、営農開始からカモの食害や冷害、排水不良などの被害に苦しめられてきました。公社は営農者が求める改善・対策についての交渉に応じなかったばかりか「リース料を滞納した場合には農地を明け渡す」との同意書提出を要求。それを拒んだとして第3期(2018年から)のリース契約の再設定をせず、明け渡しを求める同裁判を起こしました。

判決をうけ、松尾代表は「農業のことは全く知らない裁判所。何年もの営農を文言だけで切り捨てる不当な判決だ」と批判。勝田代表は「一生懸命訴えてきたことが反映されておらず、裁判所は真剣に訴訟に向き合っていない」と語りました。