「しんぶん赤旗」2024/9/10

長崎・被爆体験者訴訟 
広島「黒い雨」訴訟原告団・長崎市

広島「黒い雨」訴訟原告団

 長崎の「被爆体験者」訴訟の長崎地裁判決を受け、広島の「黒い雨」第2次訴訟原告団・弁護団、原爆「黒い雨」被害者を支援する会は9日、広島市で記者会見を開きました。

 会見は、原爆の放射性降下物による被爆者として、これまで長崎訴訟の原告・弁護団・支援者とシンポジウムを開くなど協力してきたことから開いたもの。弁護団事務局長の竹森雅泰弁護士は、44人の原告のうち15人に被爆者健康手帳交付を認め、29人の申請を却下した内容について「被爆者の範囲を限定し、住んでいた地区で分断が生じることは問題だ」と批判しました。

 「原爆の放射能により健康被害を生じることを否定できない」ことを立証すれば被爆者と認めるとした2021年広島高裁判決の到達から「後退する内容だ」と指摘しました。

 岡久郁子原告団長は「被爆者援護法の趣旨を明確にした広島高裁判決が今回引き継がれなかった。救済してほしいという被爆者を裁判所はどう受け止めたのか。いたたまれない、悔しい思いだ」と述べるとともに、「引き続き運動を応援し、長崎と一体になって被爆者の問題を決着させたい」と表明しました

長崎市長コメント

 長崎市の鈴木史朗市長は、被爆体験者訴訟の地裁判決を受け、9日、コメントを発表しました。

 被爆体験者の皆様が望んでいた判決とは異なるのではないかと思われるとして、複雑な思いで判決を受け止めていると記しています。

 今後の対応について被爆体験者の方々の意見を踏まえながら、判決内容を精査し、国や県とも協議したうえで、判断していきたいとしています。

 あわせて、8月9日の被爆体験者と岸田文雄首相との面会において、厚労相に対し「合理的に解決するための具体的な対応策」が指示され、現在その調整が進められているとして、県と連携の上、被爆体験者救済に向けた取り組みを前進させるために国に粘り強く働きかけていくとしています。