「しんぶん赤旗」2024/12/18

すべての「被爆体験者」に被爆者健康手帳交付を

 「長崎被爆地域拡大協議会」(池山道夫会長)は12日、長崎市と県に対し、12月実施の「被爆体験者医療費助成事業」について要請を行いました。

 要請では、新事業は、被爆者であるにもかかわらず、被爆体験によるトラウマに起因するものとして被爆者の正当な要望を無視してきた被爆者行政の破綻によるものだと指摘。広島高裁「黒い雨」判決をふまえ、すべての「被爆体験者」にただちに被爆者健康手帳を交付するよう訴えました。

 長崎市役所では山本誠一事務局長が、伊王島町の被爆体験者の佐藤郁雄さんが描いた絵を示し、原爆の爆風で吹き飛ばされた当時の様子などを説明。「こんな状況を被爆者と認めないというのか。1日も早く認めてほしい」と求めました。

さらに、当面はすべての「被爆体験者」に無条件で即刻、新たな「医療受給者証」を交付し、受給要件となっている11疾病について、診断書の料金を公費負担することなど、7項目を要請しました。

 市の担当者は、市内の新たな医療費助成の対象者は約4000人おり、そのうち、申請は約1000人にとどまっていることを明らかにしました。また、11疾病の診断書料金については、公費負担できないと回答しました。