「しんぶん赤旗」2024/8/10

被爆体験者・岸田首相と初面談

 長崎県内の被爆者4団体と被爆体験者3団体は9日、長崎芝居で岸田首相と面談しました。国が指定する地域外で被爆したため、被爆者と認められていない「被爆体験者」が首相と面題するのは初めてです。

 7団体の要望書は、長崎で国が線引きする被爆地域の設定は変則的で、被ばく線量の科学的根拠もないと批判。2021年の広島の「黒い雨」訴訟で原告が勝訴し、被爆者手帳の交付の拡大が実現したことに言及し、長崎の被爆体験者においても被爆者としての認定を実現するよう求めました。

 第二次全国被爆体験者協議会の岩永千代子会長は、原爆後に振った灰を集めるなどの被爆体験者が描いた絵を見せながら、「私たちは空気中の放射性微粒子を吸い込んでいる。私たちは被ばく須屋ではないのか」と訴えました。

 岸田首相は、被爆体験者について、「厚労相において長崎県、長崎市を含め具体的な対応策を調整するよう指示を出したところだ」と述べました。

 わずか30分ほどで終了し首相が退席しようとした際、関係者から「広島と長崎を差別するな」と怒りの声があがりました。その後、武見敬三厚労相が残り引き続き懇談。被爆者・被爆体験者らから「被爆者認定にどうしてこんなに時間がかかるのか」と発言が相次ぎました。

 爆心地から8・5キロの被爆体験を語った被ばく地域拡大協議会の山本誠一事務局長は、原爆の放射能が広範囲に拡散した「科学的データはすでに出ている。(被爆者認定を)前向きに検討してほしい」と力を込めました。