「しんぶん赤旗」2024/2/21

長崎「被爆体験者」訴訟が結審

 国が定めた地域外で被爆したために被爆者と認められていない長崎の「被爆体験者」44人が、長崎県と市に被爆者健康手帳の交付を求めている訴訟が19日、長崎地裁(松永晋介裁判長)で結審しました。判決は9月9日です。

 爆心地から約10・5`の旧深堀村(現長崎市)で原爆に遭った岩永千代子原告団長(88)が意見陳述し、「私たちも広島の人たちのように放射性微粒子を含んだ大気を吸い、井戸水を飲んで生活した。内部被ばくによる健康被害は疑いようもない。私たちには時間がない。早く被爆者健康手帳の交付を」と訴えました。

弁護団は米国のマンハッタン調査団が、長崎への原爆投下後に測定した残留放射能の値から、原告らが居た地域に放射性降下物が降り注いだのは明らかだとして、「被爆者の解釈、認定について広島と長崎が違っていいはずがない」と主張しました。

 被告弁護団は広島の「黒い雨」高裁判決について「解釈を誤っている」と反論し、国が受け入れた判決を自ら否定しました。

 2021年の広島「黒い雨」高裁判決は「原爆の放射能により健康被害を生じることを否定できない」ことを立証すれば足りるとし、広島では新たに5200人を超える国の指定地域外の人が被爆者と認められています。訴訟では、広島の判決に基づき長崎の『被爆体験者』も被爆者だと認めるよう求めてきました。