「しんぶん赤旗」2024/9/25

「被爆体験者」訴訟 原告28人が控訴

 国が指定した被爆地域外にいたため被爆者と認められない長崎の「被爆体験者」が、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めていた裁判で、長崎地裁が原告44人のうち29人を被爆者と認めなかった判決に対し、原告団は24日、福岡高裁に控訴しました。認められなかった29人のうち、2人の原告は亡くなっており、1人の遺族からは委任状が取れなかったことから28人が控訴。県、市も同日、被爆者と認定した15人について控訴しました。

 控訴後、裁判所前で山内武原告団長(81)は「いよいよここまできたから、やるだけやる。頑張っていきたい」と力を込めました。

  報告集会で岩永千代子原告団長(88)は「県、市に頼れないというのが非常に悲しい」と述べ、「国の支援事業の拡充であっさりとPTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉が消えた。じゃあ私たちは被爆者でもない。体験者でもない。まったく幽霊のような存在だ」と語りました。

 三宅敬英弁護士は、広島高裁の「黒い雨」判決と長崎地裁の判決が矛盾していると指摘。「住んでいるところが違うだけで、ここまで裁判所の判断が違っていいのか。時間がない中でどれだけ詰めていけるか。なるべく早く、皆さんの救済ができないかと考えている」と語りました。