「しんぶん赤旗」2023/9/13

「核ごみ」ノーの声に背 対馬市議会
文献調査賛成請願を強行

 長崎県の離島・対馬市への高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場の文献調査受け入れを巡って12日、対馬市議会に反対、賛成双方の請願がかけられ、反対の請願が不採択となる一方、賛成の請願の採択が強行されました。傍聴席などの市民から怒りの声が上がりました。

 請願特別委員会では文献調査にとどまらず、「最終処分場の建設誘致までを視野に入れた採決を行」ったとの委員長報告がありました。

 討論で、小島徳重市議(無所属)は、最終処分の技術が確立していないことや風評被害への市民の不安、市民の声が十分に議会に届いていないことをあげて受け入れ反対の立場を示し、「対馬には『核のごみ』は必要ないと全国に宣言しよう」と呼びかけました。

 受け入れに賛成する市議は「一番の優先は市の財源」と放言、文献調査の国交付金20億円に加え概要調査の70億円にも踏み込み、財源としたいと述べました。

 受け入れ反対の議員らは、請願提出団体の商工会で理事を務める議員の除斥などの問題を追及して採択の先送りを求めましたが、賛成議員らは即日の採択を強行。受け入れ反対8、賛成10で採択・不採択が決まりました。

 傍聴した竹本鈴さん(71)は「涙が出てきた。反対の取り扱いがあまりに軽々しい」と怒りをにじませ、「核のごみと対馬を考える会」の上原正行代表は「当初3人だった反対派議員が採択では8人まで増えた。これからが勝負。市長の決断を求めるとともに、賛成派議員の政治倫理条例違反疑惑などを市民で検証したい」と話しました。