「しんぶん赤旗」2023/3/8

車いすの被爆者として東奔西走 渡辺千恵子さん没後30年の集い


 原爆で下半身不随となり、車いすの被爆者として国内外で被爆体験を語り続けた渡辺千恵子さんの没後30周年のつどいが5日、長崎市で開かれました。「長崎原爆青年乙女の会」と「長崎のうたごえ協議会」の共催。

 被爆者ら約60人が参加。渡辺さんの遺品の保存に取り組む長崎総合科学大学の木永勝也准教授が記念講演しました。

 木永氏は長崎の平和記念式典での「平和への誓い」の下書き原稿など貴重な資料を紹介し、被爆後、自宅にこもりきりだった渡辺さんが母親や仲間に支えられ、原水爆禁止世界大会や国連軍縮特別総会などで自らの体験を語るまでに成長していく様子を報告。「車いすでの生活が始まり50歳で本格的に自立し、車いすの被爆者として東奔西走した。64歳で死去するまで短いが鮮烈な生き方だった」と語りました。

 ジャーナリストの関口達夫氏は、渡辺さんが晩年、「長崎原爆松谷訴訟」の証人として病床から証言したことを紹介。「身体が弱り声を振り絞って証言したと聞いた。命削っての証言。渡辺さんは被爆者への救いの手を惜しまなかった」と振り返りました。

 長崎被災協の横山照子副会長が「青年乙女の会」と渡辺さんについて思い出を語り、「うたごえ協議会」が渡辺さんの半生をつづった創作曲「平和の旅へ」を披露しました。