「しんぶん赤旗」2023/3/29

元自衛官男性が語る岸田政権の大軍拡

 岸田文雄政権が、相手国内への「敵基地攻撃能力」の保有に踏み込み「戦争国家づくり」への道を突き進もうとしている中、長崎県の元海上自衛官・海曹長の緒方孝之さん(仮名・71)に現状への思いを聞きました。

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かつて自衛隊員は、憲法9条の「戦争放棄」に守られ、海外には出さない。日本は戦争をしないという立場だった。しかし、安倍晋三元首相の安保法制の強行により、海外に出て行って米軍の後方支援をするとなると、犠牲者が出ることになるだろう。

 岸田首相はさらに踏み込んで、安保3文書を閣議決定。長距離巡航ミサイル・トマホークを米国から購入するといっている。しかし、武器には護衛用と戦略用とがあり、トマホークの射程は1600`超で、あきらかに戦略武器といえる。かつてイージス艦を購入した時にトマホークを搭載できなかったのはそのためで、これは憲法違反じゃないか。

 今、海上自衛隊への入隊者が減っている。これまで、自衛隊員は艦船で訓練して年に1回約1カ月、船が修理に入る間休暇となり、家族とも会えた。ところが、今のように艦船を増やしていくと、修理に入っても隊員は別の船に移動させられ、休みもなく過酷な勤務となる。私たちの時代と違い考えられない。これが軍拡の下での自衛隊の実態だ。

 絶対に憲法9条だけは守ってほしい。敵をつくらないことが一番。中国、北朝鮮に敵対するような行動はやめたほうがいい。話し合うことが大事で共産党が言っていることは正論だと思う。