「しんぶん赤旗」2023/3/29

協和商工過労自殺訴訟不当判決

 長崎県佐世保市の食品卸売会社「協和商工」に勤務していた男性=当時(25)=が自殺したのは、過重な業務が原因だとして、遺族が同社に対し謝罪と損害賠償を求めた訴訟で27日、長崎地裁の古川大吾裁判長は、長時間労働が原因で精神障害を発症したとしながらも、自殺との因果関係は認められないと、原告の請求を棄却する不当判決を出しました。

 男性は2014年に入社。商品の納入や営業活動などに従事していましたが、17年に自殺。19年に労災認定されています。

 判決文は、男性が14年12月頃に精神障害を発症し、発病前後の2カ月に時間外労働が平均160時間以上あり、極度の長時間労働だったと認定。自殺直前まで精神障害が続いていたと認めました。

しかし、発病から自殺まで約2年3カ月が経過し、自殺の直前には労働時間が減少。業務による負荷は低下していたとし、さらに会社の金を私的流用していたとの会社側の主張を取り入れ、自殺は他の原因によるものであると断定しました。

 判決後の報告集会で原告代理人の白神優理子弁護士は「私的流用は客観的根拠がないずさんな認定だ。自殺直前の労働時間もほぼ過労死ラインで、あまりにも過重労働の実態を軽んじている」と批判しました。

 原告の母親は「考えてもいなかった判決で頭が真っ白。一生懸命頑張っていた息子のことを悪いように言われ悔しい」と語りました。

 原告側は控訴する方針です。