「しんぶん赤旗」2023/3/7

「黒い雨」分析・調査を 長崎県・市 厚労省に要望


 長崎の「黒い雨」被害をめぐり、厚生労働省が「降雨の客観的記録はないと訴訟で確定している」として長崎の報告書を否定した問題で、長崎県、市は厚労省に対し、長崎平和祈念館所蔵の被爆体験記と原爆傷害調査委員会(ABCC、放射線の医学的・生物学的晩発影響の長期的調査・研究機関)が実施した残留放射線と降下物の研究結果を分析・調査するよう先月2月16日に要望していたことがわかりました。

 長崎県の「黒い雨」専門家会議は2022年7月に、原爆投下後に「黒い雨」が長崎でも降ったと結論付けた報告書を厚労省に提出。

 これを受け、厚労省は今年1月に「降雨の客観的記録がないことは過去の訴訟で確定している」などとして報告書を否定する見解を示しました。

 広島の「黒い雨」をめぐり、国が被爆者や研究者を交えて議論した「黒い雨」検討会では、広島平和祈念館所蔵の被爆体験記15万439件を調査した結果が示され、調査結果として市町村の記載がある雨の情報が1599件あり、被爆地域および健康診断特例地域の範囲を大きく上回るものだったと指摘しています。

 広島同様、長崎平和祈念会館所蔵の被爆体験記も、被爆地域以外での降雨に関する客観的な証拠となりうると指摘し、雨だけでなく、灰や燃えカスなどの記述も調査するよう要望しました。

 併せて、ABCCが実施した残留放射線と降下物の研究結果を調査することで長崎において降雨があった記録が得られるのではないかと指摘し、要望しています。