「しんぶん赤旗」2023/5/13

「黒い雨」降雨地点を記したデジタルマップ完成

 爆心地から12`以内で被爆しながら、被爆者として認められない「被爆体験者」でつくる「長崎被爆地域拡大協議会」は11日、長崎市内で「市民と研究者の意見交換会」を開きました。

 被爆体験者の支援を続ける、長崎県保険医協会の本田孝也会長は、長崎原爆の「黒い雨」降雨地点などを記したデジタルマップを作成。同日、同協会のホームページに公開したと報告しました。

 デジタルマップには、1950年代、米原爆傷害調査委員会(ABCC)の聞き取り調査において、約900人が雨にあったと回答している地点と、99年に県・市が実施した証言調査で129人の降雨証言と地点をあわせて雨雲のマークで記載しています。

その上に米国マンハッタン調査団が45年に行った残留放射能の測定結果の地点を重ねると、「被爆未指定地域にも降雨があり、雨が降ったと証言されている所から放射能が検出されている。これは確かに『黒い雨』がこの地点に降ったという客観的な証拠だ」と指摘しました。

22年4月から、広島では「黒い雨」被害者に被爆者健康手帳の交付が始まっていますが、国は「長崎には『黒い雨』が降った証拠がない」と被爆者健康手帳の交付を拒んでいます。

高辻俊宏・長崎大学名誉教授が「マンハッタン調査団が測定したものは自然放射能であるとの主張への反論」を、大矢正人・長崎総合科学大学名誉教授が厚労省の見解を批判する講演をしました。