「しんぶん赤旗」2023/3/2

石木ダム 工事強行

 長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業で、県は2月28日、管理棟への道路をつくるため、強制収用した地元住民の土地に重機を入れ工事を強行しました。これまでは、任意取得した土地のみで工事を進めてきましたが、今回初めて収用地での工事に着手。駆け付けた住民が抗議し一時騒然となりました。

 住民らは柿の木にしがみつき、ショベルカーの前に座り込むなどして阻止しようとしましたが、県職員はこれを力ずくで排除。住民らは午後も重機のまわりに座り込み、県は別の場所での工事を余儀なくされました。

 工事を強行した土地は岩下秀男さん(75)が所有していたもので、収用されていない土地との境界線に関して岩下さんと県とで認識の違いがあり、あらためて現場で双方立ち会いの下測量をする約束になっていました。しかし、県はこの日、いきなり「今から工事を始める」と宣言し強行しました。

 岩下さんは「工事が始まったと聞いてあわてて駆け付けた。話をしようとしたが、『決まったことだからいまさら話し合いはせん』と言われた。私たちを無視した横着な態度に腹が立つ」と憤ります。同じく地元住民の石丸勇さん(73)は「県は工事をする態勢をつくってすぐ始めた」と批判しました。

 県は2月には、収用地の田畑で耕作をやめるよう住民に求めており、強硬姿勢を強めています。