「しんぶん赤旗」2023/1/26

諫早湾干拓事業営農者訴訟が結審

 国営諫早湾干拓事業の干拓農地(長崎県諫早市)に入植した営農者らが、調整池があることで起こる冷害やカモの食害、排水不良などで甚大な被害を受けたとして、国、県と県農業振興公社を相手に損害賠償や潮受け堤防排水門の開門を求めた訴訟の最終弁論が24日、長崎地裁(天川博義裁判長)であり、結審しました。判決は6月27日。

 原告は3法人、1個人でその内、「匠(たくみ)集団おおぞら」の荒木隆太郎社長(74)が陳述。「諫早湾干拓地は優良農地だと宣伝していたのに、実際はろくに作物も収穫できない荒れ地だった。農業者に寄り添った指導もせず、(契約解除で)5年で出ていけというのはあまりにひどい」と訴えました。

 「匠集団おおぞら」は、干拓農地に入植する前は多い時には従業員を50人雇い、年間の売上高が10億円に達することもあったといい、「広大な土地の農業に期待して入植したが、割り当てられた土地は水はけが悪い上、荒れ地で作物はほとんど収穫できなかった」と述べました。

入植した際に莫大な投資をした荒木さんは「入植した5年間で、農業で築き上げた財産を失っただけでなく、多額の負債も抱え、幸せだった家庭も壊された」と深刻な状況を語りました。

中原昌孝弁護士が、干拓地農業の被害の内容を陳述し、「これは自己責任などで片付けられるものではない」と国、県、公社の責任を追及しました。