「しんぶん赤旗」2023/3/30
諫干開門第2、3陣訴訟
漁業者側の控訴棄却 福岡高裁


 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で漁場環境が
悪化したとして、長崎県の漁業者らが潮受け堤防の開門を求めて起こした第2、3陣訴訟の控訴審判決が28日、福岡高裁でありました。森冨義明裁判長は、開門を認めなかった一審長崎地裁判決を支持し、漁業者側の控訴を棄却しました。

 最高裁が1日付で開門を認めない事実上の統一判断を示してから初の判決。

 森冨裁判長は、干拓事業について「諫早湾の漁場環境の悪化を招いたと認めるのが相当」とした上で「高い公共性、公益性を有する」などとして、開門は認めませんでした。

 判決を受け、「よみがえれ!有明訴訟弁護団」は声明を発表。潮受け堤防閉め切りと諫早湾内の漁業被害との因果関係については、「本判決も認めざるを得なかった」と指摘。しかし、事業の高い公共性・公益性や開門による被害などを理由として棄却したことは、「漁民らの請求を棄却する結論ありきの判断」と批判しています。

 話し合いによる解決しかないという弁護団などの立場は全く変わらないと述べ、国はこの判決によっても認められた閉め切りによる漁業被害について真摯(しんし)に受け止め、漁民の被害回復に尽力しなければならないとしています。(時事)