「しんぶん赤旗」2023/12/7

諫早湾干拓営農者訴訟・控訴審 開門と賠償求める

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の干拓農地に入植した営農者3法人と1個人が、農地を貸し付けた県農業振興公社と国、県に約6300万円の損害賠償と潮受け堤防排水門の開門を求める訴訟の控訴審が6日、福岡高等裁判所(久保田浩史裁判長)で始まり、第1回の口頭弁論が開かれました。同事業では調整池に起因する冷害や野鳥の食害、排水不良などの被害が出ています。 

 今年6月27日の長崎地裁の判決では、開門や損害のほぼすべてを棄却する不当判決が出され、原告、被告双方が控訴していました。

 口頭弁論で原告の松尾公春さん(66)は、優良農地だという宣伝は全く違っていたと強調。1審被告証人の、冷害にあうなら冬の時期作物をつくらなければいいとの発言に公社の無責任さが表れていると指摘。「実情を十分に理解した上で適切な判決を」と求めました。

 裁判に先立つ集会で馬奈木昭雄弁護団長は、同事業で漁民・住民の求める開門の議論を拒み、一方的に非開門を押しつける国を批判。「みんなの声を聞かず、一部の者の利益のためにこんな事業をすればとんでもない結果を招く。実態を知らせ、国民全体の声にしていこう」と呼びかけました。 

 裁判は1回で結審。来年4月17日に判決が出る見込みです。