「しんぶん赤旗」2023/8/31

長崎被爆者4団体、首相に要望

 長崎の被爆者4団体は30日、首相官邸で岸田文雄首相と面談し、唯一の戦争被爆国として「核なき世界」の実現に向けて役割を発揮することや、被爆したにもかかわらず、原爆に遭ったのは国の指定地域外とされている「被爆体験者」を被爆者として認定することなどを求めた要望書を手渡しました。

 要望内容は▽唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約への署名・批准をし、条約参加を呼びかけること▽原爆被害への国家補償を▽長崎の被爆体験者を被爆者として認定を▽原爆症認定のあり方の抜本的改善を―などです。

 長崎原爆被災者協議会(被災協)の田中重光会長によると、核兵器禁止条約への参加について岸田首相は、「核兵器国が参加していない。核兵器国を関与させることが課題だ」と、これまでの回答を繰り返しました。

 また田中会長は、「被爆体験者」救済に関わって、「黒い雨」広島高裁判決により被爆者援護行政の在り方が確定したが、法の下の平等で行政が行われていないと指摘。為政者の判断で不平等が生じていると述べ、岸田首相に是正を求め、「被爆体験者」を被爆者と認めるよう要望しました。

 県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長、長崎原爆遺族会の本田魂(たましい)会長と県平和運動センター被爆者連絡協議会の川副(かわぞえ)忠子副議長は、「(政府の回答は)これまでと同じことを繰り返すだけで何も中身がない」と批判しました。

 被爆者団体との面会は、例年平和式典後に行われていましたが、台風の影響で延期されていました。