「しんぶん赤旗」2023/12/20

原爆資料館展示の見直しを考える講演会

 被爆80年となる2025年度に長崎市が長崎原爆資料館の展示内容の更新を計画し、被爆者や識者を交えた審議会で検討している問題で17日、原爆資料館展示の見直しを考える講演会が同市内で開かれました。

 日本の「加害の歴史」についての展示継続を求めている被爆者や市民でつくる「世界に伝わる原爆展示を求める長崎市民の会」の主催で、琉球大学名誉教授の高嶋伸欣氏が講演しました。

 約100人が参加。「南京占領、大虐殺事件起こる」との表記を見直そうとの議論について、高嶋氏は「日本軍による南京大虐殺事件が起こされたことは、学術的に確認済み」と強調。市が中・高校の歴史教科書を参考にこれらの記述を作成するとしていることについて、教科書の記述と資料館の一般向けの展示とは意味が全く違うと指摘し、「最近の教科書の記述では南京大虐殺となっていない。教科書の記述がこうだからと、判断基準にするのは間違っている。あくまでも事実に基づいて判断すべき」だと語りました。

 審議会委員である日本共産党の中西敦信市議の「今の展示よりさらに、日本の侵略と植民地支配の歴史を深めた『歴史の事実に向き合った展示』への更新となるよう取り組んでいきたい」とのメッセージが読み上げられました。

 市は「基本計画素案」を公開し、来年1月10日までパブリックコメントを受け付けています。