「しんぶん赤旗」2022/12/11

市民団体が長崎市性暴力訴訟を学ぶ

 長崎県地域•自治体研究所は 11日、中鋪(なかしき)美香弁護士を迎え、「長崎市性暴力訴訟から何を学ぶべきか」の講演会を長崎市で開きました。同訴訟は 2 0 0 7年、長崎市の原爆被爆対策部長 (当時、故人 )から取材中に性的暴行を受けた上、同市により虚偽の風説を流布され二次被害を受けたとして、女性記者が市に対し損害賠償と謝罪を求めたもの。22年 5月、長崎地裁は女性の訴えを認め、市に損害賠償を命じました。市は控訴を断念し、田上富久市長は被害女性に謝罪しました。

 原告代理人の中鋪氏は判決の意義について①女性の過失はなかったと言い切った②加害部長が職権を利用し加害に及んだと認めた③別の職員の流言による二次被害を止める対策を行わなかったことに法的責任を認め、組織の責任を明確にした一などと語りました。二次被害については、企業や学校などあらゆる人的組織に及ぶルールになると指摘。組織の中で二次被害が広がることがわかっていたのに手をこまねいていれば、組織自体の罪が認められるということだと強調しました。

 裁判の中で、女性にも落ち度があったと市が主張した「過失相殺」を裁判所が認めない判断をしたことについて、中鋪氏は「判断は合理的」だと評価し。市の主張には強姦 (ごうかん)神話 (女性への偏見 )があり、「このような固定観念が二次被害を生み、広げる」と語りました。