「しんぶん赤旗」2022/8/9

長崎で「被爆体験者」が証言 原水爆禁止世界大会

 

 原水爆禁止2022年世界大会―長崎で、被爆者と交流のつどいが8日、長崎市内で開かれ、国の指定地域外で被爆したため被爆者と認められない2人の「被爆体験者」が証言しました。

 

 津村はるみさん(77)は生後19日目に、爆心地から約8キロの長崎市香焼町で被爆。祖母宅に寝ていた津村さんは爆風で布団ごと縁側に吹き飛ばされました。「祖母は大やけどを負い、母は乳がんや子宮がんを患い亡くなり、私も50歳のときがんで甲状腺を全摘、現在も薬が欠かせません。被爆者と国が認めないため医療費も薬代も支給の対象外です」と語りました。

 被害者は国を相手取り被爆者と認定するよう運動し、訴訟を起こしている人たちもいます。広島で指定地域外の「黒い雨」被害者を被爆者と認めた2021年7月の広島高裁判決後も、長崎は対象外とされています。 

 「私たちも同じ被爆者です。広島判決後、長崎の被爆体験者も認定を求める新たな運動を起こしました。署名を集めていた知人も亡くなった。早く被爆者と認めてほしい」と津村さんは訴えました。 

 山本誠一さん(87)の10歳の時の夢は、「早くおとなになってお国のために命をささげる」ことでした。1945年8月9日、爆心地から約8キロ離れた長崎市茂木町で、米軍機を打ち落とすために投げる石を集めていたところ、爆風に吹き飛ばされました。

 「77年間、国は被爆者の苦しみに向き合ってこなかった。放置され続ける被爆者がたくさんいます。広島高裁判決で認めたのだから長崎の私たちも被爆者と認めるべきだ」と力を込めました。 

 ロシアがウクライナを侵略し核使用に言及したことについて「被爆者としても絶対に許せない」と被爆者らとともにロシア大使館に抗議したことを紹介し、日本政府に対しすべての被害者を被爆者と認め、核兵器禁止条約へ参加するよう求める思いを語りました。