「しんぶん赤旗」2022/8/10

原水爆禁止世界大会が閉会 ナガサキデー集会

 77回目の「原爆の日」を迎えた長崎市で9日、市主催の平和式典が開かれ、田上富久市長が「長崎平和宣言」で核保有国に「核軍縮プロセス」を示すこと、日本政府に核兵器禁止条約参加を求めました。原水爆禁止2022年世界大会はナガサキデー集会を開いて閉会。禁止条約を力に核兵器の使用も威嚇も許さず、完全廃絶と条約参加、被爆者援護と被災者救済を求めて草の根の運動と市民社会、諸国政府の共同を発展させようと呼びかけました。

 長崎市民会館で開かれた原水爆禁止2022年世界大会のナガサキデー集会(主催=世界大会実行委員会)は、核兵器の使用も威嚇も許さず、すべての国が核兵器禁止条約へ参加するよう求めて草の根から行動を訴える「長崎からのよびかけ」を採択しました。4日に広島からスタートした世界大会は、のべ4000人が参加。4300カ所でオンライン視聴されたと紹介しました。 

 世界大会起草委員長の冨田宏治さんが主催者報告し、田上富久長崎市長と元経産官僚の古賀茂明さんが連帯あいさつ。玉城デニー沖縄県知事がビデオメッセージを寄せました。

 被爆者の溝浦勝さん(81)は、「長崎を最後の被爆地とするため憲法9条を守り絶対に戦争をしない。核兵器禁止条約に参加し廃絶の先頭に立ってほしい」と述べました。

 田上市長は、核軍縮と核軍拡の動きが同時に進む情勢にふれ、「だからこそ一日も早い核廃絶のために市民社会が力をあわせ、世論を高めることが重要です」と訴え。古賀氏は「日本は世界に誇るべき平和主義を自ら放棄しつつある。唯一の被爆国として核廃絶の先頭に立つため、禁止条約に署名・批准するべきです」と語りました。

 核兵器禁止条約第2回締約国会議で議長国を務めるメキシコのメルバ・プリーア駐日大使があいさつ。「核兵器は現実の迫った脅威となっている」と述べ、「禁止条約に多くの国が署名・批准するよう働きかけていく。日本政府の早期署名に期待します」と語りました。

 核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加した日本共産党の笠井亮衆院議員が報告。NGOセッションでは原水爆禁止日本協議会の代表として一番手で発言し世界大会開催を紹介したと述べると拍手が起こりました。日本の平和運動が国際社会を動かしていると強調し、「世界の流れをさらに進めるため、日本政府の姿勢を変えよう」と力をこめました。

 4歳の娘を連れて、福岡県直方市から参加した上村菜都子さん(26)は、「世界大会に初めて参加しました。戦争も核兵器もない世界を子どもに渡すために行動したい」と話しました。

●3面 特別企画

 特別企画「ナガサキから世界へ」では、「原爆許すまじ」などの合唱と被爆者の証言をまじえて今こそ核兵器廃絶をと訴えました。

 杉本浩太郎さんが、長崎原爆被災者協議会の初代会長も務めた父、亀吉さんの被爆証言を朗読。山口仙二さんが国連軍縮特別総会で「ノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキ、ノーモアウォー、ノーモアヒバクシャ」と訴えた映像が流されました。

 溝浦勝さんが「被爆者の二つのお願い」をスピーチ。「日本が戦争を始めていなければ広島・長崎の原爆も各地の大空襲も沖縄の悲劇もなかった」として、「憲法9条を守り、だれ一人殺し殺されることのない日本を永久に続けてほしい。長崎を最後の被爆地とするため、日本政府は核兵器禁止条約を批准し、核兵器保有国に批准するよう働きかけてほしい」と述べました。

●参加者が署名行動

 原水爆禁止世界大会の海外代表と国内各地からの参加者は9日午後、長崎市中心アーケード街で「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める」署名を呼びかけました。

 「『核共有』より核兵器禁止を」「日本政府は核兵器禁止条約にいますぐ参加を」と書かれた鮮やかな横断幕が掲げられ、「長崎のうたごえ協議会」の演奏が会場を盛り上げました。

 約50人が参加。1時間の行動で259人が署名しました。父親が被爆者という女性(57)は「父親の親族が疎開の準備で爆心地近くに集まっていたところ原爆に遭い、全員亡くしてしまった」と話しながら署名し、「がんばってください」と激励しました。

 小学6年と2年の子どもを連れた女性(41)は、「ロシアのウクライナ侵略など本当に危うい時代になってきていると思う。子どもたちに安心できる世の中を引き継ぎたい」と署名しました。小2の男子児童は、鳩の形の折り紙に思い思いのメッセージを書く取り組みに、「へいわがいい」と書き込んで、パネルに貼っていました。

 海外代表のベトナム平和委員会のグエン・チー・ツェンさん(42)は「初めて世界大会に参加し、被爆者の話にとても励まされ力をもらった」と述べ、声をかけ署名を集めていました。