「しんぶん赤旗」2022/2/9

長崎市幹部職員による性暴力裁判が結審

 2007年7月に取材中の長崎市原爆被爆対策部長(故人)から性暴力を受けた上、虚偽のうわさの流布で名誉を傷つけられたとして女性記者が、同市に謝罪と損害賠償を求めている訴訟の最終弁論が7日、長崎地裁(天川博義裁判長)で行われ、結審しました。

 原告女性は意見陳述で「市は『真摯(しんし)に対応』といいつつ何もしていない」と批判。「女性記者の安全を保障し、取材や報道の自由が保障・確立される判決を」と訴えました。

 女性は事件後、眠れなくなり、誰のことも怖くて、室内でも濃いサングラスを外せなくなったと明かし、「普通の暮らしの前提である命の源が傷つけられる、それが性暴力だ」と告発しました。その上で、「15年間を無駄にしたとは思っていない。私がしたいことは、被害にあった人がその後も生きられる像を示すことだ」と語りました。

 閉廷後の報告集会で原告弁護団は、市側は最終準備書面で「女性にも過失がある」として慰謝料の減殺などを求めていることを報告しました。
 同市は、加害部長が日常的に女性に対しセクハラを行っていたことを認めた上で、「危険性に気がついていながら、適切な対応を取らなかったのは女性の過失である」と主張しています。
 中野麻美弁護士は「行政のあり方として問題がある。性被害を受けた女性を責めるという立場で許されない」と厳しく批判しました。
 判決は5月30日です。