「しんぶん赤旗」2022/6/8

長崎市性暴力裁判市が控訴断念

 長崎市の幹部職員による女性記者への性的暴行を巡る裁判で、市に損害賠償を命じた判決を受け、長崎市の田上富久市長は7日、記者会見を開き、控訴を断念すると表明しました。

 田上市長は判断に至った理由として、「できる限りの情報を整理したうえで、証拠などを提出し主張を尽くしたうえでの判決であり、真摯に受け入れる必要がある」とし、「今後、控訴して争い続けるより、市として反省し、必要な見直しを行い、原告にもこれからの活躍に向けて、未来のために歩みを進めていただくべきではないかと考え、控訴を行わないと決意した」とのべました。

 さらに、「原告にお会いして、心から謝罪させていただきたい」と語り、自身の給与を一定期間減給することも明らかにしました。

 裁判は、長崎市の当時の原爆被爆対策部長(故人)から取材中に性的暴行を受けた上、同市により虚偽の風説を流布され二次被害を受けたとして、女性記者が市に対し約7400万円の損害賠償と謝罪を求めていたもの。長崎地裁は「性暴力は部長の職務に関連した違法行為だった」と認め、市に対し約1975万円の支払いを命じていました。

 さらに、部長と友人関係にあった市幹部職員らによる「男女の関係だった」などの風説の流布について虚偽だと認定。これを把握した市が二次被害の防止を怠ったのは注意義務違反だと判断し、国家賠償法上の責任があるとしました。