「しんぶん赤旗」2022/11/8

「三菱長崎造船じん肺第3陣訴訟」判決

 三菱重工業長崎造船所で働き、じん肺になった同社の下請け従業員18人(死亡5人を含む)と遺族ら計30人が、三菱重工業に損害賠償と謝罪を求めた「三菱長崎造船じん肺第3陣訴訟」(2016年提訴)の判決で長崎地裁の天川博義裁判長は7日、元下請け従業員18人のうち13人について、原告勝訴の判決を言い渡し、約1億2千万円の支払いを命じました。

 判決では、同社が粉じんに暴露する劣悪な労働環境であったことを認めるとともに、下請け労働者に対しても安全配慮義務違反を認めました。さらに、会社側のじん肺を否定する主張の多くを退け、大半の原告について、粉じんに暴露したことによってじん肺・肺がんに罹患したと健康被害を認めました。

 一方、原告1人について消滅時効の成立を認め、会社側が提出した医師意見書の一部についてその信用性を肯定。1人のじん肺罹患を否定しました。

原告団と弁護団は控訴すると表明し、「原告ら全員について同社の責任を認めさせるべく引き続きたたかいを続ける」との声明を発表しました。

判決後の報告集会で原告の白木剛事務局長は「18人一緒に提訴したのに、なぜ差別をするのか非常に腹が立つ」と憤り、膵(すい)臓がんの治療中だと告白し、「命の続く限りがんばりたい」と力を込めました。