「しんぶん赤旗」2022/

長崎でも「黒い雨」 県が厚労省に報告書

 長崎県は5日、原爆投下後に「黒い雨」が長崎でも降ったと結論付けた県独自の専門家会議の報告書を厚労省に提出しました。

 証言集について、特定の日時・場所(地域)において、相当数の人が雨や灰が降ったと証言しており、集まった全ての証言メモから総合的に判断して、黒い雨等が降ったと認定することが可能と考えると述べています。 

 さらに、雨の降らない場合でも空中の放射性物質は爆風とともに広域に拡散し、地表に沈着し、灰を含む雨でも灰そのものでも放射能を有することに違いはないと述べています。降灰を含む放射性降下物全体について雨と切り分けずに取り扱うよう検討する必要があると指摘しています。

  同専門家会議は、広島の「黒い雨」被害者救済の基準から長崎の原爆被害者が対象外とされたことを受け、県が独自に設置。過去の被爆体験者訴訟との整合性や1999年度に8700人を対象に行った証言調査の結果などを再検証しました。

 長崎県保険医協会の本田孝也会長は6日、専門家会議の報告書を評価したうえで、長崎を対象外とした被爆認定新指針の見直しを求める声明を発表しました。

 県の報告書により長崎を除外する理由はなくなったと指摘。厚労省は速やかに被爆認定新指針を見直し、長崎県、市が被爆体験者に被爆者健康手帳を交付することを認めるべきだと述べています。