「しんぶん赤旗」2022/8/27

高校生平和大使25周年 核兵器と戦争のない世界に

“微力だけど無力じゃない”

 「微力だけど無力じゃない」を合言葉に、核兵器廃絶と世界平和の実現を目指す高校生平和大使の活動がことし25周年を迎えました。ロシアによるウクライナ戦争もダブらせて、長崎の被爆者歌う会「ひまわり」とコラボして、新たな平和の歌をCDにしました。被爆者の願いをつなげる若い世代の思いとは―。(阿部活士)

 

風化させないこと

 岩手県花巻市出身で21代平和大使の阿部くるみさん(20)は、小学6年の時、非核平和学習で広島にきた体験が活動の原点でした。「被爆者の方から聞いた被爆体験は、『こわい。すごいことが起きていた』と思っただけでした。そのことが頭に残っていて、高校生になった時に大使と一万人署名活動に加わった」といいます。

 2018年にはジュネーブの国連軍縮会議にいき、スピーチしました。

 「東日本大震災の被災地・岩手から来ました。被爆のことも震災も、風化させないためには知ることが大切です。今ある日常が当たり前だと思ってはいけないと思います。戦争も震災も、知ることから始まると思います」

 海外の人から「たとえ小さな石でも池に投げ込めば、水面に波紋が大きく広がります。どんなに小さく見える活動も、大きな影響を与えます。がんばって続けてください」と言われました。「すごく励ましになりました。岩手からも平和大使が歴代選ばれ、いまもつながっています」

自分ごとと考える

 長崎日大高校3年生の川端悠(はるか)さんは、24代平和大使として活動中です。

  「戦争は物理的な破壊だけでなく、人々を感情面も含めて苦しめることだと学びました。被爆体験を過去の出来事として取り扱ってはいけない。自分ごととしてみて、同じようなことが起きないようにすることが平和活動だと思います」

  コロナ禍で活動が制約されジュネーブに行けませんでしたが、「たくさんの人たちとかかわりを持てたことが良かった点です。街頭署名だけでなく、スポーツ交流や歌など、平和へのアプローチはたくさんあると発見しました」。

 歌では、「ひまわり」の人たちと「LOVE SONG〜すべての悲しみの上に〜」と「明日こそ きっと」を歌ってCDになりました。「あの二つの歌は、情景など当時を思い出すことができて歌えた」と話します。

 高校生一万人署名を始めたころのメンバーの吉田慧(さとし)さん(会社員、39)は、「まさか25周年までくるとは思わなかった。最初のころ街頭で署名するのも大変だった」と振り返り、「いま長崎平和委員会で活動しているけど、一万人署名行動が自信と誇りになっています」と話します。

  「署名行動をしていて思うのは、唯一の被爆国なんだから、核兵器禁止条約の締約国会議にせめてオブザーバーとして参加してほしいと思います」