「しんぶん赤旗」2022/9/7

国営諫早湾干拓事業・営農者農地明け渡し訴訟判決

 国営諫早湾干拓事業の干拓営農地を管理する長崎県農業振興公社が、干拓営農2法人に農地の明け渡しなどを求めた訴訟の判決が5日、長崎地裁であり、天川博義裁判長は、土地の明け渡しと賃料相当額などの支払いを命じる不当判決を言い渡しました。

 干拓営農地を巡っては、優良農地だと公社から誘われ入植したものの、営農者は営農開始からカモによる食害や冷害、排水不良などの被害を受けてきました。公社は改善・対策を求める営農者に対し、「リース料を滞納した場合には農地を明け渡す」という同意書の提出を求め、その提出がないなどとして第3期(2018年から)のリース契約を再設定しませんでした。

判決では、明け渡し請求が権利乱用や信義則違反には当たらないとしました。

 判決後の報告集会で営農者のマツオファーム代表の松尾公春さんは「大きな投資をして入植したのに、県、国に物を言うものは全て潰すということだ」と怒り、グリーンファーム代表の勝田考政さんは「農地は地盤沈下したこともあり最初からひどい状況。しかし、公社は何もせず、それで賃料は払えというのか」と抗議しました。

判決を受け、「よみがえれ!有明訴訟弁護団」は「本判決は、諫早湾干拓営農地における営農の実態や営農者の窮状を直視しておらず、断じて受け入れることはできない」との声明を発表しました。