「しんぶん赤旗」2022/10/15
諫早湾干拓事業営農者訴訟 生産者に鬼の仕打ち

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の干拓農地に入植していた営農者が県農業振興公社と国、県に対し、損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が12日、長崎地裁(天川博義裁判長)でありました。

証人尋問で原告の「匠(たくみ)集団おおぞら」の荒木隆太郎社長(74)は「素晴らしい農地だとのふれこみで、夢を抱き、莫大な投資をして入植したが、リース料の滞納を理由に5年で追い出された。公社は生産者に寄り添った指導もせず、鬼のような仕打ちだ」と訴えました。

荒木さんは入植に当たり、補助金も利用して約2億円の投資をしましたが、営農地では排水不良や冷害などで思ったように収穫ができず、撤退に当たって多額の借金を背負いました。「試行錯誤の5年間だった。農業は5年くらいで結果が出るものではない。5年で出て行けと言われるのならこんなに投資はしなかった」と無念の思いを語りました。

もう一人の原告の大崎吉重さん(67)は「入植前の営農実証栽培の土地はとてもいい土地で、作物もきちんと収穫でき、これが入植の決め手になった。しかし、割り当てられた土地は、排水不良で作物の実が腐るなど収穫できなかった」と証言。「公社は、リース料滞納を理由に農地をテープで囲い、耕作できないようにするなどの妨害を行った」と告発しました。