「しんぶん赤旗」2022/7/23

土曜人とき 飯田彰吾さん(41)

 事故や病気による脳へのダメージが原因の高次脳機能障害を抱える、長崎県内の子どもと家族の会「よりよりホームズ」を5月に発足させました。

 長女ちひろさん(13)=中学2=は2016年3月、小学1年の時、通学途中に軽トラックにはねられたことが原因で障害を負いました。

 ちひろさんの症状で一番大変なのは、脳が疲れやすく、疲れたら感情のコントロールが効かなくなり、泣いたり、すぐに怒ってまわりに感情をぶつけたりすること。学校では、先生の説明を聞きながらノートを取るなどの同時並行の作業も困難です。

 「子どもの症例が少なく、将来どうなるのか不安。どの進路を選んでもそれが我が子に合っているのか選択に迷う」といいます。「そういう当事者や家族がつながっているのは心強いし、同じ悩みを共有できるのが大きい。一人ひとりの事例・症例を蓄積していけば、それが社会的な財産にもなる」と語ります。

 結成のきっかけは、17年に「長崎子ども・女性・障害者支援センター」が呼びかけた高次脳機能障害の学習会。同じような障害を持つ子どもや家族らが出会ったことでした。

 現在8家族が参加。「よりより」とは、らせん状にねじった長崎の伝統的な中華菓子で、この菓子のようにメンバーが固くしっかり結び合って、一緒に進んでいきたいという意味が込められています。「仲間の輪を広げ、この障害について社会に知ってもらいたい」