「しんぶん赤旗」2022/1/14

被爆体験者は被爆者 政府「指針」の撤回を
長崎被爆地域拡大協シンポ

 長崎被爆地域拡大協議会は13日、長崎市内で、「被爆77年・被爆体験者は被爆者だ!」と題してオンラインシンポジウムを開催。岸田政権が、広島の「黒い雨」被害者を分断し、長崎の被爆体験者を切り捨てる「指針」を示したことについて、撤回と再考を求めて、専門家がそれぞれの立場で報告しました。

 主催者あいさつした峰松巳会長は、「被爆体験者は被爆者であることを認めさせよう」と呼びかけました。

 長崎県保険医協会会長の本田孝也医師は、広島高裁判決を受けて出された菅首相(当時)談話による「同じ事情の方々」の対象から長崎が外された経緯や客観的資料がないとする国側の言い分に対し、論文もデータも存在していることを示し、「長崎も同様に救済すべきだ」と語りました。

 広島の「黒い雨と放射性微粒子」について大瀧慈広島大学名誉教授が報告。初期放射線の影響では説明できない健康被害について説明。また、地図上に「黒い雨」の境界線が引かれたことに触れ、「境界は意味がなく、本質は放射性微粒子を体内に取り込んだことによる健康被害を受けたかどうかだ」と語りました。

 「放射性微粒子による内部被ばく」について高辻俊宏長崎大学名誉教授が報告。放射性微粒子は遠くまで飛ぶことを強調。体内に取り込んだ放射性微粒子による被ばくは、平均量がわずかでも局所的な高線量をもたらすことなどを語りました。 

 「長崎原爆と広島原爆の残留放射線」について大矢正人長崎総合科学大学名誉教授が報告。理化学研究所とマンハッタン調査団が行った原爆の残留放射線の数値を紹介。長崎の被爆地域は12キロ圏内だけでなく、島原半島まで残留放射線は検出されていると述べ、「原爆被害者全員の救済を行うべきだ」と語りました。