「しんぶん赤旗」2022/7/30

長崎の「被爆体験者」訴訟和解を申し入れ

 国が定めた地域外での被爆のために被爆者と認められていない長崎の「被爆体験者」44人が県と長崎市に対し、被爆者健康手帳の交付を求めている訴訟で、原告の「被爆体験者」らは28日、長崎地裁に和解を申し入れました。

 上申書では、長崎県が設置した専門家会議が「長崎にも『黒い雨』が降った」と結論付けた報告書を厚労省に提出し、県、市ともに原告ら全員を含む「被爆体験者」の救済を求めているとして、「もはや、原告ら爆心地から12㌖以内の方がすべて被爆者であるということは、原告、被告ともに、証拠に基づく共通認識を持ったことは明らか」だと訴え、早期の救済を求めています。

 これに先立ち、長崎市内で、「被爆体験者問題の平和的解決を求める集会」が開かれ、原告をはじめ、国会議員、県議、市議らが参加。日本共産党からは堀江ひとみ県議と中西敦信市議が参加し、連帯のあいさつをしました。

 原告弁護団の三宅敬英弁護士は「原告は高齢化が進み、これ以上裁判を続けるのは困難がある。今こそ、裁判官が主体的に関わって和解を進める時が来ているのではないか」と指摘しました。

 岩永千代子原告団長(86)は、原爆が落とされた後、灰が入った井戸水を飲むなど、内部被ばくした様々な事例があると語り、「爆心地から12㌔圏内は確実に被害があった。政府は内部被ばくについてずっと隠蔽してきた」と訴えました。