「しんぶん赤旗」2021/8/10
核禁条約参加を訴え長崎被爆5団体 菅首相に要望
 長崎原爆被災者協議会の田中重光会長ら長崎の被爆5団体の代表は9日、長崎市内で菅義偉首相に5団体共同の「要望書」を手渡し、面談しました。

 長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長が、要望書について説明。国際法として核不拡散条約(NPT)に加えて1月発効の核兵器禁止条約に参加していないのは、「“唯一の戦争被爆国”の存在感を示しておらず、国際社会が失望していることを重く受け止めるべきだ。署名・批准しリーダーシップを発揮すべき」だと訴え、オブザーバー参加も検討すべきだと語りました。

 原爆投下に伴う放射性降下物の影響がある「被爆体験者」が全国で8000人もいるとし、「広島の“黒い雨”被害者と同様だ。救済する政治決断をしてほしい」と求めました。

 菅首相は禁止条約について、「核保有国を巻き込む必要がある。現実的に核軍縮をするのが適切」とし署名・批准を拒否しました。

 要望後、記者団に被災協の田中会長は、「要望事項にすべてゼロ回答でした。“被爆者に寄り添う”といっても口先だけだ。長崎の原爆資料館には歴代閣僚が一人も見学にきていない。日本被団協が国連で原爆展をやってきたが、本来、日本政府が行うべきだ」と語りました。