「しんぶん赤旗」2021/3/29
総局日誌 石木ダム工事現場から
 25日の朝、職場へ向かう途中に電話が。「石木ダムの現場で早朝から工事が強行されている。すぐ来てほしい」。取るものもとりあえず、急行した現場は、1週間前とは状況が一変。住民たちは、うなりを上げる重機のすぐそばで座り込みをしていました。

 ショベルカーが土砂を救い上げ、彼女らの目の前に落としていきます。怖がりの私は、迫ってくるショベルに「危ない!」と何度も震えました。しかし、こんな危険な状況でも県の職員は離れた場所から高みの見物。住民にケガをさせないよう「工事中止」を命じないのです。カメラをこちらに向け、私たちを監視している者もいます。

 ここ川原地区は春真っ盛り。座り込みをしていた女性が「今の季節はフキやツワ、山菜がたくさん採れるのに…。工事のせいでそれもできない」とつぶやきます。里山の季節とともに暮らす彼女たちのささやかな喜びすら奪うダム工事。中止しかない。

 (長崎県・前川美穂)