「しんぶん赤旗」2021/10/5

長崎市の性暴力裁判田上市長の証人尋問


 2007年に長崎市原爆被爆対策部長(故人)から取材中に性暴力を受けたとして、女性記者が市に対し損害賠償と謝罪を求めた訴訟の口頭弁論が4日、長崎地裁(天川博義裁判長)であり、田上富久市長らを証人尋問しました。

 田上市長は「2次被害防止や事件に真摯(しんし)に向き合って対応していくことに一貫して取り組んできた」と証言しましたが、2次被害防止の対策を何らとっていなかったことが明らかになりました。

 訴状などによると、07年7月、女性は部長から呼び出され、性的暴行をふるわれました。その後も別の市職員によって虚偽のうわさを流され、二次被害を受けたとしています。部長は月1日に自殺。女性はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受け入院や休職に追い込まれました。

 田上市長は、事件発覚後、部長に対し事件について口外しないよう注意したり、市職員らにかん口令を敷くなどの2次被害防止のための具体的対応について問われると、「記憶にない」「わからない」と繰り返しました。

 弁論後の報告集会では、参加者から田上市長らへの怒りが噴出。原告女性は支援者へのメッセージで「市は被害者に関心がなく、性暴力に無知で2次被害防止を唱えるわりには2次被害が何かそもそもわかっていない」と批判しました。