「しんぶん赤旗」2021/10/21

長崎市の性暴力裁判原告女性が証言
加害部長が職権を利用し暴行

 2007年に長崎市原爆被爆対策部長(当時)から取材中に性暴力を受けたとして、女性記者が市に対し損害賠償と謝罪を求めた訴訟の口頭弁論が18日、長崎地裁(天川博義裁判長)であり、原告本人の尋問が行われました。女性は事件後、食べられず、睡眠もとれず、衰弱していた様子を語り、「なぜ、私が長期にわたりこうなったか、裁判で責任の所在を明らかにしたい」と述べました。

 事件は07年7月、部長が深夜に女性を呼び出し、性的暴行をふるい、その後も別の市職員によって虚偽のうわさを流され二次被害を受けたものです。部長は11月1日に自殺。女性はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断を受け入院や休職に追い込まれました。

 女性は、事件当夜、部長が取材に応じることを条件に、赴任して間もなく土地勘がないことを利用して女性に車を運転させ、ホテルに連れ込み無理やり暴行した。職権を利用した行為であったと証言しました。さらに、部長は事件後、女性からの抗議の電話に「申し訳ないと思う」と性暴力をふるったことを認めながら、職場では「男女の関係だった」とまったく違う内容を吹聴し、女性に責任転嫁しようとしていたこともわかりました。

 女性はいまだに記者として復職できておらず「性暴力を受けたことで、個人の問題だけでなく、国民の知る権利・自由まで侵害された」と訴えました。