「しんぶん赤旗」2021/9/29

長崎市性暴力裁判で女性団体らが市長に要請

 2007年に長崎市原爆被爆対策部長(故人)から取材中に性暴力を受けた女性記者が、市に対し損害賠償と謝罪を求めている訴訟で、長崎県内の女性団体など19団体は27日、田上富久長崎市長宛てに、被害者の人権を大切にし、証人尋問に真摯(しんし)に向き合うよう求める要請文を提出しました。

 来月4日に田上市長の証人尋問が予定されているのを受け、要請書の提出を要望したところ市側は「裁判の原告の支援団体から要請を受け取るというのは公平性を欠く」との理由で当初、受け取りを拒否。同日行われた記者会見では女性団体から怒りが噴出しました。

 会見では「市民からの要請を受け取らないというのは極めて異例」など批判の声が上がりました。要請文について、事件当時から市長であった田上市長に対し、市が施行している「男女共同参画推進条例」と「犯罪被害者等支援条例」の立場に立ち、真摯に向き合うよう求めていることを説明しました。

 NPO法人DV防止ながさきの中田慶子理事長は「女性に責任はなかったとはっきりさせないと心の傷を抱えたままになる。私たち市民も女性を応援し、二度と長崎で起こらないようにしなければ」と語りました。

 女性の支援を続ける新聞労連の吉永磨美委員長が同席し、「市は取材ではなくプライベートだと主張し、被害者を苦しめることになっている」と話しました。

 会見後、秘書課長がようやく要請書を受け取りました。