「しんぶん赤旗」2021/11/10

長崎市立小学校教諭が審査請求

 住民らの建設反対の座り込みが続く長崎県川棚町の石木ダムの問題を校外学習の一環として扱った長崎市の50代の市立小学校の教諭が、市教育委員会から受けた文書訓告処分(7月)は不当だとして9日、記者会見し、同市公平委員会に審査請求(10月7日)を行ったことを明らかにしました。

 教諭は市立矢上小学校在籍時の昨年11月、当時担任していたクラスを含む6年生児童で、ダム建設の進む川原(こうばる)地区での校外学習を行いました。処分理由はその際、児童が書いた感想文を保護者や校長の許可を得ず、市民グループ「石木川まもり隊」に提供し、同会のブログに掲載されたというものなどです。

 校外学習のテーマは、川原の自然やダム問題も含んだ人々のくらしなどで、水没予定地の住民との懇談もあり、その様子が報道されました。

 会見に同席した審査請求代理人の中川拓弁護士は「石木ダム問題を取り扱ったことに対する報復的処分で、今後、県内の教員が石木ダム問題を取り上げることができなくなる。由々しき問題」と指摘しました。

 教諭は「最初、一緒に企画を進めた校長がマスコミ報道の後豹変(ひょうへん)した。何があったのか明らかにしてほしい」と述べ、「児童の名前も写真も掲載していないのに、個人情報を口実に、行政が教育に介入することは不法行為。私の主張が認められ、民主的な教育行政がより充実することを願っている」と語りました。