「しんぶん赤旗」2021/8/26
長崎県の非常勤職員に対するセクハラ訴訟判決で一部勝訴
 長崎県の非常勤職員だった40代の女性が、男性上司からセクハラやパワハラを受け、適応障害を発症したとして県と男性上司に対し、慰謝料と未払い賃金などの支払いを求めた訴訟の判決が25日、長崎地裁でありました。天川博義裁判官は、パワハラについては訴えを認め、県に対し慰謝料など33万円の支払いを命じましたが、セクハラに関しては違法とは認めませんでした。

 女性は2018年4月から福祉系の部署に勤務。男性上司から、体を至近距離まで近づけられたり、いきなり手を握られその際上司の手が女性の胸にふれるなどのセクハラを受けました。メモを取ることを禁止され、業務内容は全く教えてもらえないにもかかわらず、何度も叱責されました。同年6月、女性は休職に追い込まれ、適応障害と診断されましたが、県は、19年3月末で女性を雇い止めしました。

 判決では、男性上司によるメモを取ることを禁止するなど2点の行為については、違法なパワハラであると認定しましたが、セクハラについては、「業務上の必要性があるときに至近距離に接近することや、パソコン操作をした際に腕が胸にふれたとしても違法であるとは認められない」と訴えを退けました。

 判決後の報告集会で女性は、これまでの支援に謝意を述べ、「一部勝訴はしたが、セクハラが認められなかったことに悲しい思いです。しかし、県の隠蔽体質、あるまじき実態が明らかになり一石を投じることができた。裁判をして良かった」と語りました。