「しんぶん赤旗」2021/3/27
石木ダム工事差し止め訴訟 第3回口頭弁論
 長崎県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム事業で、地元住民らが、県と同市に工事差し止めを求めている訴訟の控訴審第3回口頭弁論が25日、福岡高裁(森冨義明裁判長)でありました。

 原告で水没予定地に暮らす岩本宏之さん(76)は「ダムに翻弄される人生はたくさんです。1日も早く自由の身となり悔いのない人生を送りたい」と工事の差し止めを求めました。

 裁判長が交代したため、原告弁護団4人と岩本さんが、ダムの利水、治水の問題点とダム建設によって奪われる住民らの「平穏生活権」などについて改めて陳述しました。

 岩本さんは、水没予定地に暮らす住民の、自宅や農地、山林のすべてが強制収用され1年4カ月が過ぎたと述べ、「補償金は受け取っていないが、収入があったものとして、高額の所得税が課税され、国保税・介護保険料や町県民税などが最高額の負担となった。大きなリスクを背負わされ苦しんでいる」と厳しい生活の様子を語りました。

 ダム建設の工事現場では、県による連日の工事強行で、原告住民らは現場を離れることができませんが、傍聴には長崎、福岡、佐賀各県から大勢の支援者が駆けつけました。

 弁論後の報告集会で「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は、工事現場での抗議行動への支援を訴えました。