「しんぶん赤旗」2021/7/16
和解による解決を 諫干差し戻し審進行協議
 長崎県の国営諫早湾干拓事業で、潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう国が求めた訴訟の差し戻し審の進行協議が14日、福岡高裁でありました。

 協議は非公開。同高裁が4月、和解協議の開始を提案した「和解協議に関する考え方」への見解を、国が次回期日の8月18日までに文書で示し、その上で協議することになりました。進行協議後の報告集会(一部オンライン)で弁護団は「文書の用意もせずに、明らかに国の時間稼ぎ」だと批判しました。

 「和解協議に関する考え方」は同高裁が、開門をめぐる問題が複雑・深刻化し裁判の判決だけでは解決できないとして「話し合いによる解決の外に方法はない」と示しているもの。これについて漁業者側は「私たちがいってきたことをきちんと受け止めたもの」と評価しています。

 報告集会で馬奈木昭雄弁護団長は「国が裁判所の正しい提案を妨害するのは許されない、和解による解決を支持するとの声を結集し、運動を強力に推し進めていこう」と力を込めました。

 日本共産党の武藤明美佐賀県議は、県内で和解を後押しする運動をすすめたいと語りました。

 諌早市小長井町の漁業者・植木勇次さん(39)は、タイラギ漁師だった父親の思いを紹介し「有明海のことを全国の人に知ってもらいたい」と話しました。