「しんぶん赤旗」2021/11/12

諫早湾干拓地営農者裁判で証人尋問

 国営諫早湾干拓事業の干拓営農地を管理する長崎県農業振興公社が、干拓営農2法人に農地の明け渡しを求めた訴訟の口頭弁論が8日、長崎地裁(天川博義裁判長)でありました。同訴訟は、潮受け堤防の開門と欠陥農地への損害賠償を求めて声を上げた営農者を黙らせ、農地から追い出すために振興公社が起こしたものです。

証人尋問で営農者側は、優良農地だと公社側から誘われ入植したが、話とは全く違い困難な農業を強いられたと訴えました。

 マツオファーム代表の松尾公春さん(64)は「土地は粘土質で雨が降ると粘着性がでて、乾くと固くなる。潮受け堤防が閉め切られているために、冬場は冷害で大根が凍り、カモが飛んできて葉を食べてしまう。今までこんな土地でつくった経験はなくとても苦労した」と訴えました。

 松尾さんは、元公社嘱託職員の島田洋吾氏からの強い勧誘がなかったら入植していないと証言。一方、島田氏は尋問でそのことを問われると、「覚えていない」と繰り返しました。

グリーンファーム代表の勝田考政さん(45)は「入植した農地は、耕運したら漁網や大きな石、配管が出てきて農機が破損。爆弾を掘るようなものだった」と証言。修理費用などはすべて自前で「公社からの補償はなく、何もしてくれなかった」と訴えました。

松尾さんは、農業環境を変えるためにも潮受け堤防の開門をと求めました。